この本に書かれているのは別れだけではない。社会について鋭い視線を投げかけ、事の本質を的確に語る。それが小気味好く実に痛快。たとえば格安バスツアーや衣類などの価格競争を例に「もうひとつ安すぎる事の弊害は、物を大切にあつかわなくなってしまうことがある。これが社会に蔓延すると、その国の柱がおかしくなる」
産經新聞の話題の本で紹介されていた、伊集院静氏の「別れる力」と言う本の書評の中の一言にドキッとしました。
経済不況でこちらアメリカでもテレビコマーシャルのスポンサー企業が変わって、最近は大型安売り店のコマーシャルがやたらと多くなりました。安い事は良いことで、私もその恩恵を受けている者の一人です。
でも、安物の衣料品はすぐに穴があいたり、縫い目がほつれてきたり、洗濯をすると色が落ちたりと長持ちはしません。でも安いので、確かに処分する時に罪悪感がないのです。「また、買えばいいや!」ってな気持ちが出てしまうのですね。
脚本家の倉本聰さんが、昔の日本のテレビドラマ ”北の国から”の主人公、黒板五郎さんの生き方を通じて、まだ使えるものをどんどん捨ててゴミにしてしまう、今から約30年ほど前の日本人の消費生活に問題定義をしていました。
そして30年後の今、伊集院氏の言葉が「また買えばいいや!」が習慣になってしまった私の心にぐさっと響いたわけです。
私の子どもの頃は、物がそれほど豊富な世の中でなかったし、周りも平均的に貧しかったので、セーターが小さくなったら母はセーターの毛糸をほどいて、もう一度編み直して着せてくれていた事などを思い出しました。やっと買ってもらった人形は、真っ黒になってもまだ大事にしていました。
物を大切にしなくなった自分は・・・
いったいどこから変わってしまったのかしら?
昔に戻る事はできるのかしら?
少しでも、物を大切に生きようとしたら、どうしたらいいのかしら?
これからの私の大きな、そして大切な課題を伊集院氏の言葉が与えてくれました。
マダム
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